仕事中の八重子は糸子が玉枝を訪ねて来たことに驚いた。
「ちょっと頼みごとがあってな」
糸子は微笑むと玉枝が寝ている部屋へ向かった。
「はれまあ…糸ちゃんか」
玉枝は寝たまま糸子を見た。
糸子は奈津がパンパンになったことを玉枝に告げ、助けて欲しいと願い出る。
しかし玉枝は自分はボロボロなので人を助ける余裕はないと糸子を追い返すのだった。
数日後、玉枝が奈津と話がしたいと言い出し、糸子と共に奈津がいる小屋を訪れる。
玉枝は奈津の母親が亡くなったことを知り、奈津に勘助と泰蔵が亡くなった事を伝えた。
「嫌や!嫌や!嫌ー!!」
奈津は両耳を押さえ泣き出してしまう。
「…アンタもたった1人で辛かったな」
玉枝は奈津の背中を優しく撫でた。
― 小原洋装店では周防が手伝っていた仕事を無事終えていた。
糸子は周防に礼を言うと周防が笑った。
「良かった…嫌われたかて思うとった」
糸子が理由を尋ねると周防は糸子に避けられている気がしていたと伝える。
それに対し、糸子は微笑むだけで何も応えなかった。
店を後にする周防を見送りながら糸子は思う。
『喋れんようになったんは好きになってまいそうやったからです』
『さいなら…もう二度と会いませんように』