カーネーション 第6話 あらすじ

糸子は祖母・松坂貞子が送ってきた洋服を近所の主婦に見せていた。

「こりゃ珍しいもんみせてもろた。おおきに」
可愛いらしい洋服を見て感心する主婦達は糸子に礼を言った。

「アッパッパくらいだったらウチかて着るけどな」
小原呉服店の隣にある木岡履物店の女将が言った。
「アッパッパって何?」糸子は尋ねた。
「アッパッパって言うたら夏になったら着てる人いるやろ?洋服や!」
「おばちゃん洋服持ってんの!?」

木岡履物店で糸子はアッパッパを見せてもらう。
「おばちゃん着てんの見た事あるわ。これも洋服やったんけ?」
「けど見てみ?日本の着物と全然違うやろ?」
「おばちゃん、どないしたんこれ?」
「縫うたんやし」
「縫うたん!?自分で!?凄いなぁ!」

驚いた糸子だったが自分で縫ってみたらいいと助言され、糸子は早速家に帰り自分でアッパッパを縫う事にした。
祖母・ハルから不要になった布切れを貰い、御飯を食べるのも忘れてひたすらアッパッパを制作した。
糸子のアッパッパ製作は明け方近くまで続いた。
「できたー!」
糸子は満足そうに完成した洋服を見た。

翌日、糸子は作ったアッパッパを早速を家族に披露した。
家族は勿論、父・善作にも褒められたので糸子はますます裁縫にのめり込んでいった。学校が終わると糸子はまっすぐ家に帰り、ひたすら洋服を縫った。
糸子は祖父・松坂清三郎や従兄弟の勇にもステテコやアッパッパを作った。


― 昭和二年(1927年)

「糸子姉ちゃん!もう8時やで!?」
次女・静子に女学生となった糸子は起された。
「なんでもっと早う起こさへんのや!」
糸子は妹に悪態をついて慌てて学校へ行く支度を始める。

学校に向かう途中、安岡泰蔵が走って糸子の前を通り過ぎた。
「泰蔵兄ちゃん!おはようさん!」
「おう!」
泰蔵は短く返事をすると雨の中、いつものようにそのまま走って行った。

走り去る泰蔵を見ながら糸子は思うのだった。

『相変わらずだんじりは大好きやけどウチの夢はもう大工方やありません!』