『あの綺麗な着物は何やったんやろ?
ホンマにこの世のもんやろか?夢とちゃうか?』
松坂家から帰宅した糸子は外国人に髪飾りとして貰ったカーネーションを眺めた。
糸子はパーティで見たドレスが忘れられずにいたのだった。
学校が始まると糸子は早速、吉田奈津に外国人が着ていたドレスについて尋ねた。
「ドレス?ドレスって言うんけ?あの綺麗な着物?」糸子は目を丸くした。
「着物ちゃう、洋服や。外国の着物は洋服っちゅうんや。アンタ何も知らんねんな?」
奈津は呆れた顔で糸子に言った。
父・善作に頼まれ和菓子屋に集金に来た糸子だったが和菓子屋の主人は頑として支払いを拒んだ。そんな中、勘助が友達と和菓子屋にやってきて団子を万引きする。
糸子が勘助達から団子を取り返したので和菓子屋の主人は集金に応じるのだった。
集金を無事完了し、意気揚々と帰っていた糸子の前に団子を万引きした少年の兄が仇をとりに糸子の前に現れる。
「女やからって大目には見んど?」
少年の兄が糸子に肩を掴んだ。
その一言で最初は相手にしない糸子だったがケンカを買ってしまう。
糸子は少年と河原でケンカをし、少年を川に追いむ。
川の中で取っ組み合いになったところで糸子が集金したお金が川に流されてしまう。
糸子は慌ててお金を追うが糸子自身も流されてしまう。
しかし間一髪のところで勘助の兄・泰蔵に助けられ、ずぶ濡れの状態で家に帰宅する。
泰蔵達が帰ろうとすると糸子が小さい声で父・善作に言った。
「…お金、流れて行ってしまいました…」
「そんなしょうもないケンカ…なんで買うた?」
善作は静かに尋ねた。
「女やからって…舐められたなかった」
その瞬間、善作は糸子に思い切りビンタした。
「わかったか!?これが男の力じゃ!
お前に出せんのか!?お前はどう足掻いたかて女なんじゃ!
女が男に張り合うてどうすんじゃ!?」
倒れこんだ糸子に善作は大声で怒鳴った。