カーネーション あらすじ 第16話

昭和3年1928年 春。
糸子が桝谷パッチ店にやってきて半年が経過した。
昼食をサッと済ませ、片づけや作業の手伝い、使いといった事を注意されながらではあるが糸子はこなす様になっていた。
そして店が終わってから行うミシンの練習が糸子にとっては何よりも楽しかった。

小原呉服店の近所にある木乃元電気店は開店して半年が経過するも、資金がないため電気商品が一つも並ばないでいたが、店の主人・木乃元栄作は嫁をもらっていた。
しかし嫁・節子は無愛想で怖いということで糸子達は気軽に木乃元の店に入れなくなった。
一方、小原呉服店は儲かってないが潰れるまでではなかった。
変化した事は糸子が桝谷パッチ店に行ってから父・善作が集金するようになっていた。

桝谷パッチ店の従業員・田中が糸子に『裁ち(布を切る作業)』を教えると言い出した。
2年目の見習い山口は“早すぎる、自分もこないだから教えてもらってる所だ”と反発するが田中は糸子は頑張っているからと指導を始めるのだった。
『裁ち』の指導を受けている間、糸子は何回も失敗してしまい田中にしごかれてしまう。
その様子をこっそり窓から見ていた糸子の祖父・清三郎はいたたまれなくなり、部下(召使?)に菓子折りを買ってこさせて糸子を連れ出すのだった。

清三郎は心斎橋の喫茶店に糸子を連れて行き、デザートをたくさん食べさせる。
そして糸子にミシンを使う仕事に就きたいのなら清三郎の会社で働かないかと持ちかける。
しかし糸子は清三郎の申し出を断る。
「なんでや?」清三郎は糸子に尋ねた。

「勉強になる方がええねん。おじいちゃん、ウチに甘いさかいな。
ウチすぐ甘えてまうと思うねん。そしたら勉強にならへんやろ?
けど今の店は誰もウチに甘ないよって、いっつも怒られんように必死やねん。
しんどいけどな…けど必死でやらんとあかん方が勉強になると思うねん。
精一杯勉強して一人前になったらおじいちゃんトコに行くわ」
糸子は清三郎の問いに笑顔で答えた。

清三郎は糸子がしっかりした考え方を持っていることに感動する。
「誰に似たんや?親がどっちもあんなにアホやのに」
ハンカチを取り出し目にあてている清三郎に糸子は“おじいちゃんに似た”と答えた。
「そんな口まで上手うなって…(泣)」

― 4月12日、大安吉日。
吉田屋の中庭で吉田奈津が泣いていた。
その日、吉田屋の大広間では安岡泰蔵の祝言が挙げられた。