カーネーション 第10話 あらすじ

糸子の叔父・松坂正一は、祖父・松坂清三郎の命令で千代の家族全員が不自由なく暮らしているか見にきているのだった。
正一は、千代から不自由なく生活できていることを確認すると店を後にした。
だが少し離れた所で一人の男性から情報を受け取ると血相を変えて桝谷パッチ店に乗り込んで糸子を連れて帰るのだった。

「そんなら…糸子があそこで働いていたのを知らんかった言うのか?」
小原呉服店に戻った正一は善作と千代に確認した。
「はぁ…恥ずかしい話なんやけど…」善作が言った。

「糸子!お父ちゃんら庇うために嘘ついとんちゃうか?」
糸子が生活苦で嫌々働いていたと思っていた正一は糸子に尋ねた。
「お兄様…?糸子は、そない健気な子やありません」千代が言った。
「…それもそうや」
しばらく考えてから正一は納得した。
糸子は正一に手伝う代わりに店に置かして貰ってると伝えた。
「わからんな…なんでそないあの店におりたいんや?」
「ミシンがあるさかい!」糸子が笑顔で言った。

― その日の夕食後、善作に糸子はパッチ屋で働きたいから女学校を辞めさせてくれと土下座する。善作は憤怒して糸子を足で蹴った。
「ワシがどんだけ苦労して女学校行かせてやってると思ってんのじゃ!」
「分かってる!わかってるけど、ウチどないしても働き・・・」
「黙れ!二度と騒ぐな!!パッチ屋なんぞ行ってみ!金輪際許さんぞ!!」
善作は怒鳴りながら部屋を出て行った。

翌日、偶然すれ違った大工方の安岡泰蔵が糸子の顔のあざを見て声をかけてきた。
心配する泰蔵に糸子はミシンという自分のだんじりをみつけた事を伝えた。

― 善作は岸和田の大地主・神宮司源蔵の娘の婚礼の着物を仕入れに問屋を訪れるが、値段が高い上物の着物の掛売りはできないと断られてしまう。
不景気で手元に高価な着物を仕入れる資金がない善作は肩を落として帰るのだった。

善作が店に帰ろうとすると隣近所のビリヤード場の看板が取り替えられていた。
店主・木之元栄作は善作に電気屋を開店させて大繁盛させてみせると息巻く。

小原呉服店に善作が戻ると糸子が三つ指立てて待ち構えていた。
「いい加減な気持ちで言うてんとちゃうねん!ホンマにパッチ屋で働きたいねん!」
善作は、ちゃぶ台にあった湯飲みを床に投げ割った。
糸子は父の怒る姿が怖かったが何度も働かせてくれるよう頼み込んだ。

― ある日、桝谷パッチ店・店主の桝谷幸吉と女将・桝谷さよが糸子の元気な姿を一目見ようと偶然を装い小原呉服店の前を行ったりきたりする。

『会いたいけど…今はまだアカンねん!待っといな?ウチ頑張るさかい!』
糸子は、二人から隠れながら誓った。